UAP機密ファイル第6弾が公開―ー1952年の音声に残された「20%」の読み方

米国防総省(Department of War)が2026年9月18日、未確認異常現象(UAP)に関する機密解除ファイルの第6弾を公開しました。

目玉として扱われているのは、1952年に録音された米空軍大尉のブリーフィング音声です。

そこに残された「約20%」という数字が、いま各国で見出しになっています。ただ、この数字は母数と時期を確かめると、印象がかなり変わります。

目次

公開されたのは71件、音声はそのうち1本だけ

今回の公開は、トランプ大統領の指示で始まった公開制度PURSUE(UAP遭遇の大統領解封・報告システム)の6回目にあたります。CBSニュースなど複数の米メディアによれば、内訳はPDF 55件、動画15件、音声1件の計71件で、年代は1952年から2025年までにまたがります。

注目を集めているのが、その唯一の音声ファイルです。1952年3月、当時空軍でUFO報告の取りまとめにあたっていたエドワード・J・ラペルト大尉が行ったブリーフィングの録音で、長さは約1時間。文字起こしも併せて公開されました。ラペルトは同じ年に正式発足するプロジェクト・ブルーブックの初代責任者になる人物です。

これらの報告を精査した結果、およそ20%は非常に信頼できる人物による質の高い報告であり、そこからはいかなる結論も導き出せない、という事実に行き当たった。

MysteryPlanet.com.ar「El Pentágono desclasifica su sexto lote de archivos OVNI con un audio de 1952 que admite un 20 % de casos inexplicables」2026年9月18日(筆者訳)

このほか、2008年から2012年にかけて軍の情報部門が発注した理論研究文書――ワープ航法、ワームホール、反重力、光学迷彩など――が数十件含まれています。国防総省側は、これらが該当技術の実在を裏づけるものではないと説明しています。2023年10月にコロラド州の地元警察官が携帯電話で撮影した映像4本、中東上空で赤外線センサーが捉えた球体の映像なども入っています。

「20%」が出てきた場所を確かめる

20%という数字は、そのまま「UFO報告の2割は説明がつかない」という話として流通しやすいものです。ただ、何件を数えたときの2割なのかを見ると、位置づけが変わります。

ラペルトが話しているのは約800件についてで、時期は1952年3月。ブルーブックが正式に立ち上がったのと同じ月です。ブルーブック発足前に空軍が抱えていた報告を見直した段階の数字で、調査手法も判定基準もまだ固まっていません。

その後の数字が残っています。ラペルト自身が委託したバテル記念研究所の統計分析(特別報告第14号、1955年10月公表)では、約3,200件のうち434件、約22%が未解決に分類されました。この集計では、4名の分析官全員が一致した場合にのみ「未解決」とする厳しい基準が採られています。

そして米空軍のファクトシートによれば、ブルーブックが1969年12月に終了した時点の最終集計は、12,618件中701件、5.6%です。

件数が増え、判定の手順が整うほど、未解決率は下がっています。20%が示しているのは「2割が説明不能だった」ということではなく、「1952年時点の空軍の調査能力では2割に手がつかなかった」ということではないかと考えられます。ラペルト自身も、現象の性質や起源について空軍が結論を出したわけではない、と念を押していたと報じられています。

なお、ブルーブックはあくまで空軍の計画であって、CIAが運営していたものではありません。CIAが関わったのは1953年1月のロバートソン委員会で、これは外部からブルーブックを評価する側の会議です。

この音声が、いまになって出てきた理由

初出をたどると、今回の公開が偶然のタイミングではないことがわかります。

2026年5月8日、ミズーリ州選出のエリック・バーリソン下院議員がMITリンカーン研究所に書簡を送っています。議員室の発表によれば、対象は「AF-ATIC-FILM, 03/52」という識別番号と「flying saucer talk」というラベルが付いたオープンリールの録音で、説明者としてラペルトの名前が記載されていました。議員は録音の現状確認と、国立公文書記録管理局と連携した保存・評価を求めています。

この書簡が出た5月8日は、PURSUEの第1弾162件が公開された日でもあります。要求から4ヶ月半を経て、その音源が第6弾に載った形です。

録音された場についても手がかりがあります。ラペルトは1952年3月26日、ボストンでMIT系のビーコンヒル・グループに対して説明を行った記録が残っており、日付・場所・内容・ラベルのいずれも重なります。これが音源の場ではないかという見方が出ています。

制度の側でも動きが続いています。今回の公開の直前、国防総省は秘密保持契約に縛られてきた現職・元職員および契約企業の従業員が、UAP関連の情報を提供できるようにする法的免除措置を発表しました。「aliens.gov」のドメイン登録から始まった一連の流れが、制度として形を取りつつある段階と言えます。

1952年の映像は「新発見」ではない

もう一つの目玉とされているユタ州の映像についても、位置づけを確かめておく必要があります。

これは1952年7月2日、米海軍のデルバート・C・ニューハウス准尉がユタ州トレモントン付近で16mmカメラで撮影したもので、UFO研究では「トレモントン・フィルム」として70年以上前から知られている素材です。海軍が1,000時間を超える解析を行い、1953年1月にCIAが招集したロバートソン委員会が検討し、後年のコンドン委員会も取り上げました。カモメの群れではないかという説と、明るさや動き方が鳥とは合わないという反論が、長く並走してきました。

今回公開されたのは、このフィルムのデジタル化版です。方向転換時の加速度を重力の965倍と見積もった文書も1953年付の既知資料で、ワープ航法などの理論文書のうち37件も従来から知られている参考文書とされています。複数の米メディアが、今回の71件の多くはすでに公開済みだった資料だと指摘しています。

つまり、71件という見出しの数字と、新しく出てきた情報の量は一致していません。出所の曖昧な映像がUFO関連として拡散していくのと同じ構図が、公的な公開の側でも起きうるということです。公開の件数ではなく、どの1件が初出なのかを見る必要があります。

数字より、たどれる経路のほうが残る

今回の第6弾で価値があるのは、おそらく「20%」ではありません。1本のオープンリールテープが、議員の書簡という具体的な経路を通って公開に至った、その記録のほうです。誰が、どこにある何を、いつ要求したかが追える。これは1952年の資料には無かったものです。

UFOをめぐる話は、数字が独り歩きしやすい領域です。母数と日付を一緒に持っておくだけで、見え方はかなり変わります。

出典

  • 一次資料:米国防総省 UAP公開ページ Release 06(war.gov/UFO
  • 一次資料:米空軍ファクトシート「Unidentified Flying Objects and Air Force Project Blue Book」(af.mil
  • 一次資料:米下院バーリソン議員室「Burlison Requests Review of Identified 1952 UAP Recording」2026-05-08(burlison.house.gov
  • 参照記事:MysteryPlanet.com.ar「El Pentágono desclasifica su sexto lote de archivos OVNI con un audio de 1952 que admite un 20 % de casos inexplicables」2026-09-18(原文
  • 参照記事:CBS News「Pentagon releases more UFO files, including documents on secretive military program」2026-09-19
  • 参照記事:IBTimes UK「Pentagon Releases New UFO Files Showcasing Alleged ‘Flying Saucers’ and Secret Defence Tech Research」2026-09-19

確度について:公開の事実・件数・空軍ファクトシートの数値・議員書簡の内容は確認済み。音声の具体的な文言、中東およびコロラドの映像の内容、「多くが公開済み」とする指摘は報道段階で未確認。録音の場をビーコンヒル・グループへの説明とみる点、20%の解釈は推測です。

あわせて読みたい

スマートフォンの普及で、誰でもUFOを撮影できる時代になりました。日付と場所が添えられていれば、その目撃は記録になります。

INVESTIGATION ARCHIVE

あなたの目撃情報・体験談を記録しませんか

都市伝説探求機関では、全国の目撃情報を記録するデータベースと、体験談の投稿窓口を運営しています。撮影日時と場所が記録として残ることが、将来の検証につながります。匿名で投稿できます。

投稿の前に投稿ガイドラインをご確認ください。

YouTubeでは、機密文書や目撃証言をもとにした解説動画を公開しています。

  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次