山の中の実験室で「光で答える存在」と対面――ヴァレ日記の“ギルバート証言”は伝言の何周目か

スペインのミステリー専門メディア Espacio Misterio が2026年9月16日、UFO研究の重鎮ジャック・ヴァレ氏が日記に書き残した奇妙な証言を報じました(ホセプ・ギハーロ記者/原文)。「ギルバート」という仮名の人物が、山の内部に造られた実験室で、光の組み合わせで質問に答える非人間的な存在と対面したとされる話です。

目次

報じられた内容

元になっているのは、ヴァレ氏の日記シリーズ最終巻『Forbidden Science 7』(2026年、Anomalist Books)です。Espacio Misterio によれば、記述は段階的に進みます。2021年10月、遠隔透視の心得がある旧友が「公式のルートを通じて、異星人とされる存在とのセッションに導かれた」と連絡してきた。2023年にはタイプ打ち5ページの報告が届き、2024年12月には実験結果をまとめた表を見せられた。2025年3月の記述では、外が見えない車で運ばれ、小さな山の中の地下施設に入ったこと、記章のない制服姿の男女が働く整然とした実験室だったことが語られているとされます。

存在は身長6フィート(約1.8m)を超え、目立った特徴がほとんどなく、体のあちこちから光を発していたとされます。質問への反応は光の組み合わせで示され、ギルバート本人は、見ていたのが存在の体そのものか、配線された防護服や容器のようなものかを判断できなかったと記録されています。

ヴァレは「自分が山の中で宇宙人を見た」と言っているのではない。彼が語っているのは別のこと、そしておそらく、より興味深いことだ。

Espacio Misterio「Un laboratorio oculto y una entidad que respondía con luces」Josep Guijarro、2026年9月16日(筆者訳)

この話はどこから来たのか

Espacio Misterio の記事は初出ではありません。たどれた範囲では、2026年8月15日にSubstack「Devoutlier」が書籍の該当箇所を再構成し、9月10日に英語圏のUFO FEEDがそれを下敷きに検証記事を出しています(UFO FEEDは書籍原文とは照合していないと断っています)。その後ヴァレ氏はジョージ・ナップ氏らとの対談で「関係者には知っていることを公表する計画がある」と補足し、9月15日にはロス・コルサート氏のNewsNationの番組にも出演しました。

つまりスペイン語の記事に届くまでに、話は体験者、ヴァレ氏、再構成ブログ、英語メディアと少なくとも4回手渡されています。しかもヴァレ氏自身は体験者ではなく、「私はその場にいなかった」「自分の情報ではないので、議会でも証言できない」と線を引いていると報じられています。

Espacio Misterio がこの経路に新たに加えたのが、ギルバートの正体を元陸軍少佐エド・デイムズ氏とするX上の推測です。デイムズ氏は遠隔透視の普及で知られ、2026年春に亡くなったことが報じられています。ただ、陸軍の遠隔透視部隊で同僚だった人物は、デイムズ氏が1986年に正式に加わった際の役割を、透視者ではなく進行役(モニター)や管理役だったと回想しています。UFO FEEDが引く日記では、ギルバートは「熟達した遠隔透視者」と表現されており、素直には噛み合いません。英語圏では別の人物名も挙がっていますが本人が否定した例もあり、正体は特定されていないと見るのが妥当でしょう。

成り立たない点と、別の説明

UFO FEEDの検証は、肯定側の記事がほとんど触れない点を突いています。まず「光」の意味です。ギルバート自身が、見ていたものが装置や防護容器だった可能性を否定できていない以上、光の組み合わせは存在の応答ではなく、機器の表示灯だった可能性が残ります。証言者の嘘や誤認を仮定しなくても、本人の迷いを素直に受け取るだけで成り立つ説明です。

次に物語の型です。「政府が生きた存在を拘束し、意思疎通が難しいため特殊な能力が持ち込まれる」という構図は、1997年に出回った「エイリアン・インタビュー」映像などで以前から広く知られていました。捕らえられた存在と「話した」とする証言は、1996年のブラジルのヴァルジーニャ事件をめぐる医師の証言にも見られます。似た話が複数出ても、共通の文化から生まれた可能性をまず疑う必要がある、という指摘です。

遠隔透視そのものには公的な評価もあります。1995年、米国研究所(AIR)の外部評価は、遠隔透視で得られる情報は曖昧で、行動に移せる質に達しないと結論づけました。CIAはこれを踏まえ、情報機関内での研究開発を打ち切る方針を示したことが、CIAの情報公開文書に記載されています。

40年前にもあった「対話」の記録

政府の遠隔透視記録には、非人間的な存在との対話を試みたものが実際に残っています。1984年5月22日付の「火星探査」セッションです。対象(約100万年前の火星)は封筒の中に伏せられ、座標だけが読み上げられました。被験者はピラミッド状の構造物や、背が高く痩せた大柄な人々を描写し、進行役が「彼らに自分たちのことを話すよう頼んで」と促すと、「相手は私が誰かわかっていない。幻覚だと思っているようだ」と答えています。

文書に被験者名はなく、後に元陸軍准尉ジョゼフ・マクモニーグル氏が自分のセッションだと語ったとされます。この記録は何かが実在した証拠ではなく、そうした試みが行われた証拠です。それでも、能力者を介して人間以外の存在と意思疎通を図る発想が、40年以上前から米政府の記録にあったことは確かです。火星のピラミッド状地形の議論は火星のピラミッドをめぐる記事で整理しています。

今後、何を見ればいいか

直近では、元情報当局者デビッド・グルーシュ氏が8月13日の米テレビ番組で、回収された機体の乗員が生きたまま拘束されていた、テレパシーのような交信があったと語ったとUFO FEEDは報じており、ヴァレ氏の話と結びつける声も出ています。ただしグルーシュ氏は自身にその体験はないとしており、重なるのは「意識が関わる」という一般的な部分にとどまります。

見るべき点はひとつです。関係者の公表が本当にあるなら、質問表や時刻付きの記録、光の反応を機器で記録したデータといった「実験の生記録」が含まれるかどうか。地下施設の内部が証言者の言葉でしか伝わらないという構造は、エリア51近くの施設S4を語るボブ・ラザー氏の話とも共通しています。

関連動画

出典

  • 参照記事(未確認):Espacio Misterio/Un laboratorio oculto y una entidad que respondía con luces/Josep Guijarro/2026-09-16(URL)
  • 書籍(未確認・本文未照合):Jacques Vallée『Forbidden Science 7: Final Report, The Journals of Jacques Vallee 2020-2025』Anomalist Books、2026(URL)
  • 参照記事(未確認):UFO FEED/Inside the Alleged Government Interrogation of a Captive NHI: The Vallée–Grusch Connection/2026-09-10(URL)
  • 参照番組(未確認):NewsNation/Reality Check「Jacques Vallée’s final report」(URL)
  • 一次資料(確認済み):CIA FOIA Reading Room/MARS EXPLORATION, May 22, 1984(CIA-RDP96-00788R001900760001-9)(URL)
  • 一次資料(確認済み):CIA FOIA Reading Room/STAR GATE – FINAL RESPONSE TO CDA(URL)
  • 参照(確認済み:死去の報道):Coast to Coast AM/Remembering Major Ed Dames/2026-04-02(URL)
  • 参照(未確認:元同僚の回想):RVIS/Ed Dames, Remote Viewing Legend(URL)
  • 推測:「光は機器の表示灯だった可能性」「共通の文化から生まれた可能性」は検証記事の見方と筆者の解釈です

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